2日目
(エジンバラ〜Stアンドリュース)

シェフィールド市役所にある、ウィンターガーデンで、子供達の合唱
今日は、一日中お仕事です。 ロンドンから電車で2時間程の所にある、シェフィールド市というところに行って、市の職員さんにシェフィールド市内のスポーツ施設等を案内してもらうことになっています。 シェフィールド市は川崎市と姉妹都市関係にあり、川崎市と色々と提携して仕事を行っている関係で川崎市の方から紹介されて行くという形です。

シェフィールドの街は、ロンドンから北へ170マイル(約272キロ)ほどのイングランド北部に位置するサウスヨークシャー州の中心都市です。人口は約50万人、英国で5番目の規模を持ちます。人気映画「フルモンティ」や「マイ・スウィート・シェフィールド」の舞台となった街らしいです。 元々は工業都市で、特に刃物の生産では世界的に有名らしいです。 もっとも現在は衰退してしまい、街郊外にあった工場跡地に様々なスポーツ&レクリエーション施設が出来、また、ヨーロッパ最大級のショッピングモールもある都市です。

さて、当日は9時にシェフィールド駅で市の職員と待ち合わせのため、朝7時のロンドンセントパンクラス発の電車に乗らなければならないので、6時半にはホテルを出発する。
外はまだ真っ暗で、もちろんホテルの朝食は食べられずに出発する。

セントパンクラス駅は、キングスクロス駅のすぐとなりにある駅で、タクシーで5分程で到着する。 先日のブライトンの事もあったので、まず出発の掲示板を確認する。
どうやら定時で出発できるようだ。

駅構内のサンドウィッチ屋で、コーヒーとターキーサンドウィッチを買い、もはや慣れっことなった五月蝿く、臭いディーゼル列車に乗り込む。
2時間のディーゼル列車の旅は、やや見飽きてきたイギリスののどかな田園風景を眺めて過ごした。

シェフィールド 駅に着くと、そこには退職した市の職員さんで、本日の最初のガイド役のケン・モス氏というおじいさんが既に待っていた。 

初対面の挨拶を済ますと、ケンじいさんは、
「いや〜、日本人っていうからもっと小さい人達だと思ってたんだが、これじゃ僕の車に乗れないね〜。 車に乗れたら郊外にある有名なスキー場に案内しようと思ってたんだがこれじゃ無理だ。諦めて市役所を案内するよ。すぐ近くだから歩いて行こう。」 と言って歩き出した。

シェフィールドは丘に造られた街であり、とにかく坂だらけだ。 ケンじいさんは坂を歩きながらシェフィールドの歴史について色々と話してくれたが、それをかいつまんで通訳する松千代は既に疲れ気味であった。

市役所では、シェフィールド市が世界に誇るナイフ等の刃物やカテラリーが展示してある、博物館を見学したり市役所前に来年建設されるホテルの説明を受けたりしてカフェテリアで軽いティータイムを取った。 コーヒーとスコーンを食べながら通訳と会話に精を出す。 なんせ松千代が喋らないと何も始まらないので食べる間もなく喋りつづける。 その後ウィンターガーデンと呼ばれる、いわゆる温室みたいな所で、この時期は毎日お昼になると近所の小学校の子供達がクリスマスソングを歌いに来ると聞いてウインターガーデンへ行く。 子供達は既に集まっていて、歌を歌い始めていた。(一番上の写真)
ケン氏に聞くとケン氏の娘とお孫さんがいるとの事で、どうりでケン氏がここに来たがった訳だ。 
歌が終わった後、外に出てシェフィールド市の総合スポーツセンターへ歩いていく。
そのスポーツセンターは、全英でも屈指の設備のプールやジャンプ台、ジムナジウム等を持っている。 スポーツセンターで、市のスポーツ施設担当の職員と、施設の運営にあたっている財団のゼネラルマネージャーと会い、施設を案内してもらう。 通訳役の松千代はフル稼動状態である。 広い施設を一通り見て廻って、カフェテリアにて昼食会である。 
サンドゥイッチやサラダ、スコーン等をフルーツジュースで流し込みながら、松千代はとにかく喋り続ける。 相手は3人に増えているし、ただでさえわかり難いブリティッシュアクセントなので通訳はもう限界である。 

地獄のような昼食会が終わる頃、一人の女性がレストランに来て、紹介された。 
彼女は財団法人の職員で、この後のガイド役だそうだ。 したがってケンじいさんとはここでお別れである。 この女性が次の訪問地である、郊外のスポーツ施設に案内してくれるらしい。 
シェフィールド市街から郊外のスポーツ施設に行くには、10年前くらいに出来たという、トラムという路面電車で行く。 路面電車に乗り、窓の外を見ていると確かに坂だらけの街だと思った。 暫くして大きなスタジアムと巨大なスケートセンター、そのとなりにこれまた巨大なアリーナが見えてきた。

スタジアムの近くの駅でトラムを降り、スタジアムを見ながら隣のスケートセンターへ行く。  スケートセンターは最近オープンしたばかりらしく、非常に綺麗でまた最新の設備を誇っていた。 そこで、今度はこのスケートセンターの管理責任者の男性に紹介される。
スケートセンターのラウンジでしばし待つと背の高い35歳位の人が来て紹介された。
実はここからが松千代にとっての本当の地獄であった

実はこの男性、物凄い訛りの上、物凄い早口で、加えて物凄いおしゃべりだったのだ

この男性、とにかく喋るは喋るはで、松千代が一つ質問をすると、10分位話が止まらないのである。 松千代は同時通訳は出来ないので、一通り聞いてから要点を要約して日本語で伝える方法なので、彼のように喋りつづけられる(しかも話の内容がどんどん変わっていく)と最初の質問の答えさえ忘れてしまう事態になる。 
こちらが1つ質問して100の答えが返ってくるような状態が1時間も続き、同時に松千代も完全に燃え尽きてしまった。

やっと地獄の問答が終わると、
「じゃあそろそろ施設をご案内しましょう。」って。
素晴らしいスケートリンクと付属施設だったが、それを見る間もなく彼のマシンガントークの説明を適当に要約して通訳する松千代でした。

その後は、スケートリンクの隣の立派なアリーナを見学したが、疲れきった松千代には何も印象にのこっていない。 

トラムにのってシェフィールド市街に戻ってシェフィールド駅に到着したのが6時頃だったので、松千代は通訳としてほぼ9時間フル稼働していた訳だ。

6時半のロンドン行きの列車が来るまで、駅のカフェで案内してくれた女性とお茶を飲む。  彼女もこの駅から電車に乗って家に帰るそうだ。 松千代は通訳はもう疲れたのでもっぱら彼女と世間話をして過ごす。 彼女もスケートセンターのマネージャーの喋りすぎには驚いたそうだ。 電車が来たので彼女ともお別れし、2時間の列車の旅ののちロンドン・セントパンクラス駅に到着する。

そこからタクシーでホテルに行こうと思ったが、あることを思いつき、隣のキングスクロス駅まで歩いていく。 
そのあることとは、そう、
ハリーポッターの「9と3/4番線」を見に行くことである

キングスクロス駅までは歩いて1分程。 外に出るとキングスクロス駅の時計台が闇夜に浮かんでいる。 ハリーポッターらしいので一枚写真を撮る。
小説の中でボグワーツ行きの列車が出る9と3/4番線は実際には存在しないのだが、そこはイギリス、ちゃんと9番線の横に9と3/4番線のプラットホームの表示があるのである。


キングスクロスの時計台

9と3/4番線

キングスクロス駅からタクシーに乗りホテルに戻る。 疲れていたが、腹が減っていたので昨日と同じホテルの近くのイタリアンレストランへ行って夕食をとる。
今回の研修旅行で、仕事として行動するのは今日でおしまいである。 明日はユーロスターで英仏海峡を渡り、パリへ移動である。 パリでは観光のみで明後日帰国である。