2日目
(エジンバラ〜Stアンドリュース)
この日は日曜日なので、仕事は一切なし。 ということでエジンバラ城をメインとして市内観光とお土産を買うことにしました。朝はいつもより遅めの8時に起床。 ゆっくりと使えないシャワーを浴び、朝食を食べる。 朝のレストランにはいつもいかにもスコットランド紳士という感じの老ウェイターがいて、色々とサービスをしてくれる。 また、彼の生まれた町はどこだとか、ウェイターの前は造船所で働いていたとか色々と話をしてくれるのはいいのだが、物忘れが酷く、注文したばかりの内容を忘れてしまう憎めないじいさんである。
朝食を終え、ホテルを出る。 今日はホテルのすぐ近くの、ヘイマーケット駅からウェバリー駅まで電車で行き、そこからエジンバラ城まで歩いて行くことにする。

ヘイマーケット駅
日曜日なので、ラッシュもなくウェバリー駅に到着。 そこからオールドタウンのロイヤルマイルという、エジンバラ城まで続く石畳の一本道を城に向かって登っていく。 ロイヤルマイルの両端には、クローズと呼ばれる細い路地がいくつもあり、その路地のある佇まいは300〜400年前からほとんど姿が変わってないそうだ。 そう言えばガイドブックに、100年位前まではこのあたりには下水が整備されていなくて、
住人は
ありとあらゆる汚物を窓から路地や道路へぶちまけていたそうだ。
あまりの不衛生さに、当時ロイヤルマイルを通る人は靴の上からスリッパ状の木靴をはいて通ったそうだ。
今は過去の面影はなく、綺麗な石畳だけどね。

ロイヤルマイルを登りきると大きな広場に出る。 広場の先にエジンバラ城の立派な城門が見える。
ちなみにこの広場では、夏になると「ミリタリータトゥー」という大きなイベントが開催されるらしい。

 

エジンバラ城の城門

エジンバラ城の城門の左右には、スコットランドの英雄の像が嵌め込まれてある。
向かって左側が、スコットランド王のロバート・ブルース、そして右側が、
映画「ブレーブハート」で一躍有名になったスコットランドの英雄、
ウィリアム・ウォレスの像である。 
松千代は「ブレイブハート」は見たことがないのだが、このウィリアム・ウォレスという
人はいわゆる、救国の英雄で、スコットランドではかなりの人気者らしい。
しかし、末期は悲惨で、国家反逆罪で
四つ裂きという恐ろしい方法で処刑されたらしい。
おまけで、この四つ裂きという処刑法について少し。

 

大逆犯の処刑法。1241年に海賊行為で捕らえられた貴族の息子ウィリアム・モーリスが、イングランドで四つ裂きにされた最初の男とされている。

「神の屠殺(Godly Butchery)」と呼ばれたこの血なまぐさい刑の執行手順は次の通り。
まず、荷車で絞首台まで運ばれた罪人の首を吊り、半死の状態になったところで解体台に移す。そこで腹を割いて次々と内臓を引きずり出し、まだ息のある罪人自身にみせつけてから火の中に放り込む。最後に首を切り落としたあと、死体は四つに分断され、公道に面した場所に首とともに晒される。 
なお、初期には、罪人をロープで馬につなぎ、地面を引きずって処刑台まで運んでいた。刑罰名に含まれる"drawn"の元来の意味がこれである。
荷車で移送するようになった理由は、受刑者に対する慈悲からともいわれるが、恐らく、地面を引きずるやり方では処刑台に着くまでに受刑者が死亡してしまうことがあり、確実に生きたまま死刑執行人に引き渡すために心ならずも荷車を採用したというのが真相であろう。

四つ裂きに処された有名な人物としては、メル・ギブソン監督・主演の映画 『ブレイブハート』の主人公、スコットランドの愛国者ウィリアム・ウォレス(1272?-1305)がいる。彼の場合は、ウェストミンスターからロンドン塔まで移送され、そこで映画でも描かれたように上記の作法にそって処刑された後、頭部はロンドン橋で、四肢はニューカッスル、ベリック、スターリング、パースの四か所で別々に晒された。


                         こんな感じかな。

 
入場チケットを買って城門をくぐると、音声ガイドのレシーバーを貸し出していた。 日本語バージョンも選べたのでみんなで借りることにした。 1台3ポンド(約600円位)だった。 
レシーバーを付けて、場内のそれぞれのポイントに書いてある番号を押すと音声ガイドが始まる仕組みである。若干へんな日本語だったが、借りて大正解だった。
場内に入り、石畳の坂を登っていく。 途中吊り天井の門があったりして、いかにも中世のお城である。
少し行くと、大砲が10門位ならんだ広い場所に出た。 そこからはエジンバラ市街と遠くにある港、北海までばっちり見渡せた。 この日もスコットランドらしからぬ晴天で汗ばむ陽気だった。 どうやら異常気象は世界規模らしい。
広場の端っこに明らかに中世の大砲とは違う大砲が一台置いてあった。 そこにあるガイド板をみると、「ワンオクロックガン」 と書いてあった。 どうやら、中世から現在に至るまで、毎日午後1時になると空砲を打つらしい。 
どうして午後1時なのか、何故12時ではないのか? そこで音声ガイドの出番である。 ガイドによると、スコットランド人は非常に倹約家(つまりケチ)で、12時だと12発打たなければならないから1時にしたそうである。

大砲の広場からさらに上に坂を登って行くと、
「戦争博物館・竜騎兵博物館」なるとても面白そうな建物があった。
タダらしいので早速入館すると、いきなり中庭に小型の戦車が置いてあった。 ガイドによると、このかわいい戦車は、スコーピオンという偵察用の戦車で、現在もイギリス陸軍戦車(竜騎兵)部隊で使われているとのこと。
竜騎兵というのは昔は全身を重装甲で固め馬を駆って敵陣に突っ込んでいったエリート部隊であり、今は陸軍戦車隊のことらしい。 
博物館の中には、昔から現代に至るまでの様様な時代の武器やユニフォーム等が展示してあり、先日のゴルフ博物館よりは千倍も楽しめた。

お城からの景色

ワンオクロックガン

スコーピオン

博物館内の大砲

博物館を出てさらに上に登って行くと、場内の牢獄の入り口があった。 これも面白そうなので早速入ってみる。
中は鉄格子と狭い小部屋が沢山あり、2階建て構造である。 部屋にはベッドと机、トイレ、そしてなんとセントラルヒーティングのパイプまで付いていた。 さらに奥には共同のシャワー室まであった。
ガイドによると、当時の一般的な牢獄は、とても不衛生で怪しい伝染病とかが蔓延していて、牢屋に入った兵がバタバタと死んだり、また外に出て他の兵や他人にうつしたりしたため、大変な問題であったらしい。
そこで牢獄を新築するにあたり、衛生的で好環境の牢獄をとこの牢獄が出来たらしい。 
しかし、当時はこんなホテルのような設備は非常に快適だったらしく、また強制労働なんかも全くなかった為兵達がここに入るためにわざと窃盗をはたらいたり、喧嘩をしたりしたそうである。
結局ほどなくして強制労働というおまけが付いたらしい。

牢獄を出て、更に坂を登っていき、小さい門をくぐるとまた大砲が整然とならんだ広場に出た。 
さっきの広場と丁度逆側になり、これで左右の防御をしていたのだろう。 広場の端に更に上に行く階段があり、それを上るとまた小さい広場に出た。 そこには「モンス・メグ」という名の今まで見たこともないような巨大な中世の大砲が据え付けてあった。 この大砲、半径1m50cmほどの巨大な石の弾を3kmも飛ばす力があったらしい。 しかし、なにぶんにも重過ぎて移動するのに牛が何十頭も必要な上、一日に3km位しか移動できなかったらしく、まったく役に立たなかったそうだ。

階段を降りて、さらに少し上るといよいよこの城の本丸広場に到着である。
この最上階の広場の所には大きく分けて3つの見所があった。
一つは中世から現代の湾岸戦争に至るまでの全ての戦没者の名前が載った名簿が保管され手にとって見ることができる戦没者慰霊教会である。 中にはおびただしい数の名簿が置いてあった。
もう一つは、中世のお城には付き物の大広間(サロン)である。 中には武具なども整然と飾られ、ここで舞踏会など催したのだろうなと思わずにはいられない素敵な場所であった。

大広間
そして最後はなんと言ってもこの城、いやスコットランドの秘宝である、歴代のスコットランド王が戴冠式の時に身に付けた王冠、杖、剣の三種の神器である。 
この三種の神器は、スコットランドがイングランドに事実上併合され、イングランド王がスコットランド王も兼ねると定められた16世紀に一度城の奥深くに封印されてしまった物を何十年か後に発掘されたもので、今でも封印された小部屋に厳重な警護の元に展示してある。 写真ビデオは禁止なので画像はないが、何百年も前の物にしては異常に綺麗に光り輝いていて、まさに宝物という感じでした。

一通り城を見て回って、城を出たのは入城してから4時間後でした。 ロイヤルマイルを城を背にして歩いて行くと、なにやらいかにもスコットランドっていう感じのバグパイプの音が聞こえてきた。
少し歩いていくと、いたいた、一際目立つ黒い尖塔の麓に、タータンチェックのスカートにバグパイプを持ったお兄さんが一生懸命パイプを演奏していた。 しばしバグパイプの音色に聞き入ってしまった松千代でした。 もちろん最後にお兄さんの前の箱におひねりを忘れずに入れました。

お兄さんのいた尖塔

バグパイプのお兄さん

エジンバラ城の観光を終え、次はいよいよショッピングの時間です。 ウェバリー駅の横を走っているプリンスズストリートというデパートやショッピングセンターが並んだエジンバラの目抜き通りに歩いて行き
、「エジンバラの三越」と言われる、ジェナーズという老舗のデパートで本場カシミヤ製品を数点購入。
その後HMVに行ってCDを買ったり、バーガーキングで再びダブルホッパーXLセットを食べたりしてあっという間に外は暗くなってしまった。 なんせこの時期スコットランドの日照時間は7時間程度しかなく、3時過ぎには暗くなってしまうのである。
暗くなってきたのと、朝から歩きつづけて疲れたので、一度ホテルに戻ることにする。
ウェバリーから列車にのってヘイマーケットへ行き、そこから歩いてホテルに戻った。 
5時前だったので、一眠りして夕食に備えることにする。

7時頃起きて、ホテルのフロントに聞いた近くのお勧めイタリアンレストランへ歩いていく。
レストランの前でメニューなどを見ていると、いきなり中からすごく陽気なイタリアンのにーちゃんが出てきて日本語で話し掛けてきた。 聞くと以前日本に住んでいたことがあったらしい。
店の中に入ると、30人位の地元の高校生の団体がパーティーをしていた。 カラオケを歌ったりダンスをしたり。 聞けばクリスマスのパーティーらしい。  どこの国も宴会となると一緒だなと思った。
イタリアンのにーちゃんはとても陽気で愛想も良く、楽しく食事が出来た。 味も結構美味しかった。


これで午後3時半。

陽気なイタリアンと松千代

さて、これで今日一日の行動は終了である。 明日はまた仕事モードで3個所くらい視察に行くらしい。
そして夜にはロンドンへ列車で移動である。