松千代の主観的インプレッション
ポジション

Tuonoのポジションは、幅の広いアップハンの為、上体のポジションは一般的な日本のネイキッドバイクに非常に近い。ハンドル幅は800mmと幅広で、渋滞路のすり抜けには注意が必要。ステップの位置はミレと同じ為、かなりのバックステップの上、サーキットにそのまま持ち込んでおもいっきり寝かしこんでもどこも接地しない、ネイキッドの市販車としては異常なまでに深いバンク角のためにアップされたステップ位置のため、膝の曲がりはかなりキツイポジションである。
シート高は820mmとこの種のバイクにしてはかなり高く、足つき性は最悪の部類である。 身長が174.5cmの松千代では、両足の足の裏の2/3が接地するが、身長が165cm以下の人にはかなりつらいであろう。
シートは座面が広く、クッション性も適度でとても座りやすい。 滑り止めのディンプル加工と、パッセンジャーシートがシングルシートのような形のため、Tuonoの圧倒的な加速時でもお尻がずれない。 また、幅が適度に開いていてライディングの自由度に貢献している。 総じて言えば、待ち乗り良し、ロングツーリング良し、峠良しの非常に完成されたポジションであると言える。
ポジション

Tuonoは走行時重量210kgと比較的軽く、またアップハンドルで、ハンドルの切れ角も結構あるので、取り回しは非常に楽な部類である。(あくまでレプリカと比較しての話)
ポジション

街中での扱いやすさは、そのアップライトなバーハンドルと軽い車体のため、かなり機動性が高く乗りやすい。 ちょうどオフ車を乗っているような感じである。 しかし、折りたたむことの出来ないミラーが横に張り出しているので、すり抜けは得意ではない。 また、ビックツインスポーツに共通する低回転でのトルク不足のため、スタートには気を使う。 ただし、回転を上げ過ぎてスパッとクラッチを繋いだり、1速で不用意にアクセルをガバ開けするとあっという間に前輪が浮くので注意が必要。 また国産車と比較すると重めなクラッチレバーのため、握力が強くないと渋滞路では苦労する。

町乗りの燃費=13〜14km/L


ポジション

Tuonoには申し訳程度に小さいビキニカウルが付いている。 もちろん、防風効果はあまり期待できず、通常では120kmを越すとかなり上体に風が当たる。 しかし、タンクの上の窪みに伏せるようにするとかなり風を防げるので、飛ばす時はしっかりと伏せる必要がある。 Tuonoの6速は、オーバードライブ的で、100km巡航時では3千回転ちょっとである。 計算上だと、この調子で回転リミットの1万500回転まで回すと時速270km以上になるらしいが、とてもそんなに出るとは思えない。 
高速走行時の安定性も非常に良く、スピードを上げれば上げるほど、車体が安定してくる。 さすが、ミレから譲り受けた車体である。

高速走行時の燃費=16km/L


ポジション

Tuonoにとって、一番の得意分野がこの一般道のワインディングである。 そのアップライトのポジションは、見通しの悪い峠道で先を見通すのに役立ち、スーパーバイク、ミレから受け継いだ高剛性の車体と高出力エンジンにより、底なしの限界性能を見せつける。(あくまで上手い人が乗った場合)
その乗り味は、とにかく凄まじくクイックで、倒しこみからあっという間にコーナーのセンターへ倒れていく。 バンク角もレーシングマシン並に深く、バンクした状態の安定性も恐ろしく高い。 この驚異的な旋回性能(まさにファイター)のため、オーバースピードでコーナーに侵入しても外にはらむことはなく、コーナーの出口が見えたところで、アクセルをゆっくりと(前輪が浮くので決してガバ開けはしない)開けていくと、強くトラクションを効かせながら、「ダダダ・・」と猛然と加速して行く。 特にパワーが二次的に盛り上がる6000rpm以上のパワーバンドをキープできれば猛烈に速いであろう。 ただし、それを扱えるだけのテクニックは必要だが。(へたれの松千代はとても無理です)

ワインディングでの燃費=12〜13km/L

サーキット

Tuonoはベースモデルがスーパースポーツのミレというだけあってサーキットへ持ち込んでもかなり良いパフォーマンスを見せる。
シャーシ、サスペンションもミレと全く同じなので、高速コーナーでも全く音を上げない。バンク角もネイキッドバイクとしては異常に深く、ステップやシフトペダルを接地することはサーキットであってもまずない。ドカのモンスター等はノーマルのステップのままサーキットへ持ち込むと、シフトペダルやリアブレーキペダルを接地してしまい、ひん曲げることとなる。バックトルクリミッターが付いているので、ツインの協力なバックトルクに怯えることなくシフトダウンが出来る。(しかし、クラッチミートには多少慣れが必要かも) ただし、ポジションがかなりアップライトなため、加速時にかなり前傾して前輪に加重しないと簡単にフロントが浮くので怖い。また、申し訳程度のウインドプロテクションとアップライトポジションのため、超高速の出る直線等は今のSSに敵う訳もない。 Tuonoは富士、茂木、鈴鹿等の国際クラスのサーキットよりは、全長2km以内位のサーキット、ミニサーキットが得意だと思われる。
しかし、本格的にサーキット走行やレースを楽しみたいと思ったらかなり不満な点も出てくる。 特に足回りははっきり行ってダメである。 Tuonoには一応フルアジャスタブルのショーワの倒立フォークとSacksのリア、ステダン(調整不能)が付いている。 これらの装備は街乗りやツーリング峠を軽く攻める分には十二分だと思われるが、サーキットを本気で走ろうとすると、いくら安定志向にダンパーを効かせて、プリを抜いてもバネバネしさが消えず、落ち着かない。いくらプリをマニュアルにある調整範囲一杯に抜いてもバネレートが高いのかサスが良く動かない。結局調整範囲をかなり超えた状態で抜いてやっとサスが動くと感じられる。しかし、その状態でダンパーをかなりかけてもバネバネしい感じは今一つ消えない。特にフロントがそう感じる。 さらに痛いのは、ステダンが調整式ではないことである。Tuonoの初期ロットでは、当たりを引くと調整の出来るオーリンズが付いているのであるが、松千代のはハズレであった。ステダンの調整が出来ないと例えば、全長1kmにも満たないミニサーキットでRの小さいコーナーを攻める場合や街乗り等は、セルフステアでクイックに曲がりたいので抜き気味に。そして大きなサーキットのRの大きい高速コーナーを攻める時や高速道路を走る時は安定志向にするためかけ気味にしたいところである。   
以上のことを考えると、サーキットをガンガン走って、たまにツーリングとかいう使い方の人は迷わずTuonoレーシングを買うことをお勧めする。確かにTuonoに比べ約60万高いが、前後オーリンズのサス、オーリンズの調整式ステダン、前後OZアルミ鍛造ホイール、フルカーボン外装、フロントラジアルマウントキャリパー、130hp、レース用キット(レーシングチタンサイレンサー+Rom、レース用フロントカウル、シートカウル、アンダーカウル、逆シフトキット)が付属するので絶対にお買い得であると言える。

サーキットでの燃費=10〜12km/L

ポジション

Tuonoは2002年のインターモトで、先に発売された200台限定のTuonoレーシングの量産版として登場。 その時には「レーシング」に対して、「ファイター」という名前が付いていた。 まさにストリートの戦闘機、生粋のストリートファイターとして生まれたのである。 その乗り味は、ファイターの名の通り、とてもエキサイティングであり、乗って良し、見て良し、目立って良しの非常に優れたバイクである。特に街中を元気に走り回りたい人や、ツーリング途中に思いっきりワインディングを攻めたいなんて思う人には最適なバイクだと思う。 シートの硬さや前傾の度合いなど、非常に長距離のツーリングに向いているような感じではあるが、なんといっても、燃費が悪い。最悪である。18Lのタンクを満タンにしても、220〜230kmしか走らない。Tuonoにおいてほぼ唯一のマイナスポイントが燃費である。 しかし、このマイナスポイントなんてどうでも良いと思うくらい乗っていて楽しいバイクである。