アプリリア RSVミレ トゥオーノ 体験試乗
H16年1月23日
松千代は、現在ビックバイクを持っていない。 一年前まではホンダのX4に乗っていたのだが、車検むかえたのと、新たなビックバイクを購入するため維持費の安い現在のジェベル250に乗り換えて、一生懸命貯金をしていたのである。 
そんなこんなで、日頃から次期主力マシンの候補を物色していた訳だ。
松千代が求める次期マシンの資質は、

@ ポジションが楽である。
A 個性的な外観である。
B そこそこ速いマシンである。
C 峠を走って楽しい。
D 不人気車(あまり走っていないと言う意味)
E できればツインに乗りたい。
F 燃費が良い。

とこんな感じである。
以上を踏まえて、松千代の候補となっていたマシンは、

@ ヤマハFZS1000
A カワサキ Z1000
B ベルガルダヤマハBT1100ブルドック
C ヤマハTDM900
D ドカティM1000DS
E ドカティS4R

であった。 しかしどれも今ひとつ決定力に欠けていて、死ぬほど欲しいとは思えないバイクばかりだ。

そんなある日、松千代の家の近くにあるバイク屋の前を通ると、バイク屋の前に見たこともない個性的な外観のバイクが置いてあった。 アプリリアのトゥオーノである。 最初はたいして気にも止めなかったが、バイク屋の前を通る度になぜか目についた。 何回も前を通り、見ているうちになんだか非常に興味をそそられ、早速バイクカタログやネットで調べてみた。 調べれば調べるほど何故かこのバイクに惹かれていき、とうとうバイク屋に実物の写真を撮りに行ってしまった。
松千代が展示してあるトゥオーノを食い入るように見ていると、店員さんが来て、

「よろしければ試乗もできますよ。」 

と言ってきた。 
もちろん、喉から手が出るほど試乗をしたかったのだが、自分の性格上、試乗をしてしまうと我慢が出来なくなり買ってしまうのではないかという不安があり、

「試乗は又の機会でいいんですが、ちょっと跨らしてもらって良いですか?」と言った。ポジションを確認したかったので、跨ってみたかったのだ。

跨った感じは、とても理想的なポジションで、これならロングツーリングや街乗りもOKで、しかもステップの位置はミレと同じなので、バンク角は非常に深く、峠では非常に走りやすそうな感じだった。
こうなるとエンジンの音を聞きたくなるのが人情である。

「エンジンかけても良いですか。」 

と聞いてみる。 答えはもちろんOK。 店員さんがキーを持ってきてくれてメインスイッチをオンにする。
メーターパネルがオンになり、ステッピングモーター式の回転計が跳ね上がり、回転系の左右の液晶パネルが点滅する。
物凄くかっこいい。
そしてセルボタンを押すと、低い唸りと共にエンジンに命が通い、歯切れの良い低音の聞いたツインサウンドを非常に特徴的な1本出しのサイレンサーから奏ではじめた。
店員さんがアクセルを煽ると、甲高いレーシーなツインサウンドとともにタコメーターの針が狂ったように跳ね上がる。
まさに恍惚のサウンドである。 松千代の恍惚とした表情を見たのか店員がすかさず、
「エンジンもかけたことだし、ついでに試乗はどうですか。」と切り出してきた。
こうなると松千代も制御不能状態となり、

「お願いします。」と言ってしまった。
 
店員さんがトゥオーノを店の外に出してくれて、そこで入念な暖気運転の後、松千代に手渡された。 実は松千代は外車にのバイクにのるのは初めてである。 ちょっと緊張しながら環七へ走り出した。
乗り出して最初におもったのは、物凄く軽くて乗りやすいということである。
最初は低速でドコドコとおとなしく走っていたが、どうせ試乗なのだからと途中から全開にしてみた。 以前164psのブラックバードに乗っていたので、たかだか126psのトゥオーノなんかたいした事ないと思っていたが、全開にしたとたん前輪が浮き始め、あせってすぐアクセルを戻してしまった。アップライトなポジションのせいもあり割と簡単にウィリーしてしまうようだ。 今度はハンドルに伏せ気味で全開にすると、図太い排気音と共に猛然と加速しはじめた。 結局環七では5千回転までしか回せなかったが、体感的にはブラックバードやX4の全開よりも速く感じた。
そして環七をゆっくりと戻りながらバイク屋に戻っていく。 ゆっくり走行でもツインの鼓動感が気持ちよく、サウンドも官能的でとても乗っていて楽しいバイクだと思った。
国産車にはない、五感に訴えるこの官能的なバイクを物凄く欲しくなった松千代であった。 まさに一目ぼれ状態である。
特にドカほどポピュラーではないところが非常に良い。
バイク屋に戻ると案の定見積書が待っていた。 
通常の15万引きで、消費税込みの乗り出し価格が124万円。 ドカよりはだいぶリーズナブルな金額であるが、とても松千代の独断で買える金額ではない。 いきなり現実に引きずり戻された松千代であった。

しかし、いつか絶対に手に入れてやる。 と心に堅く誓うのであった。

おしまい。