新垣学校
虎の穴 in エビスサーキット
平成17年9月10日、11日
参加経緯
今回は、知る人ぞ知るサーキットライディングスクール、「虎の穴」へ参加してきました。前回のサーキットデビューで、あまりに不甲斐ない走りしか出来ない自分に腹が立って、これは一度基本から徹底的に学ぼうと決心し、2日間徹底的に教えてくれる虎の穴への参加を決めました。  このライディングスクールの講師は、以前プライベーターとしてGP500の世界選手権に参戦した経験を持ち、現在もJSBや8耐などに参戦している新垣選手です。
このスクールは新垣選手が、マンツーマンで徹底的にライディングテクニックを教えてくれ、また業界唯一の膝すり特訓コースもあるのが特徴です。 詳しくはこちらをご覧下さい。
今回の松千代の目標は、

@事故後に根付いた恐怖感を克服し以前のように気持ちよく走れるようになること。
A正しいハングオンフォームを習得すること。
BTuonoで膝を擦れるようになること。


の3つである。 特に@は絶対に克服したい目標である。

第一日目
虎の穴の開催サーキットは、福島県二本松にある、エビスサーキットである。松千代の住む練馬からは、距離にして260kmある。 東北自動車道を使えば3時間弱かかる、かなり遠い場所まで行かなければならない。 しかし、松千代は参加費だけで精一杯なので、なんと下道オンリーで行くことにした。 下道だと5時間は見ておかなければならないので、朝8時集合の虎の穴に間に合うには夜中の3時には荷物をまとめて出発しなければならない。 
仕事から帰ってきて準備をし、11時には就寝し2時半に起きて予定通り3時8分に出発した。外は真っ暗だが、風が涼しくて気持ちよかった。 環七から4号に入りあとはひたすら4号を北上する。 8時に現地に到着するには平均時速50キロで行かなければならない。 途中でご飯を食べたり、休憩を考えると時速60キロ平均で行かないとキツイかも知れない。

早朝なので道路は空いていたが、思ったより信号に引っかかってしまい、1時間後にまだ40kmしか進んでいなかった。 しかし、春日部を過ぎた辺りから信号も少なくなり、時速100kmから120kmで飛ばせた。2時間後には東京から140km離れた矢板市に入った。 ここでローソンを見つけ短い朝食休憩を取った。 
      
出発前に家の前で。                         矢板市のローソン 
矢板市を抜け、ひたすら4号を走る。 那須、郡山と順調に通過し、予定より若干早い7時40分には現地に到着出来た。 エビスサーキットは何故か東北サファリパークという寂れた動物園の中にあるので、サファリパークの入り口の駐車場へTuonoを停める。 駐車場の端には今回一緒に参加する、アプリリアオーナーズクラブのメンバー、HolyさんとMsftさんのバイクを載せた軽トラが止まっていた。 彼らは駐車場の端にあるプレハブ小屋、ライダー用の仮眠所で夜を明かしたようだ。
     
寂れたサファリパーク                      Tuonoと軽トラ
Holyさん、Msftさんと合流し、サファリパークに入場する。
やる気のなさそうな動物達の檻の横を登っていき、エビスサーキットに入る。
エビスサーキットは、山の斜面に大小あわせて7つのコースがある広いサーキットで、特に今回フリー走行で走る東コースは日本有数の高低差を持つとても恐ろしいコースらしい。 しかし、午前中の基礎トレーニングは平坦なスクールコースで行われるので、最初の集合場所であるスクールコースのパドックへ行く。 パドックには既に本日の参加者のトランポが数台止まっていて、バイクの準備をしていた。 松千代とHolyさんも早速バイクにゼッケンを貼ったり、テーピングをしたり、ミラーを取り外したりとサーキット走行準備をする。 2日目のみ参加のMsftさんは見学である。 準備の途中小柄なおにーちゃんが笑顔で「タイヤの空気圧大丈夫?」なんて参加者に声かけて廻っていた。 あまりにも気さくに話しかけてきたので、スタッフの兄ちゃんかななんて思っていたらなんとそれが新垣選手だった。 雑誌で見る感じより小柄で、あまりにも普通のフレンドリーなお兄ちゃんって感じだったので全く気づかなかった。
      
                                                 スクールコース
受付を済まし、集合する。 まず、各参加者の自己紹介と本日の目標を言うことから始まり、次にみんなそろってのストレッチである。 こんなところはスクールを感じさせる。
次に、ツナギに着替え、レーサー2台が置いてあるところに集まり、その2台を使ってライディングフォームの練習を一人一人入念に行う。 ブレーキングの姿勢チェックの後、新垣さんがOKを出すまでひたすら右に左に素早くハングオフしたり、手を離してのハングオフ等、一人一人みっちり行うので結構疲れた。 それにしても天気が良いのは良いが、とても暑くってツナギ姿の集団はまるで我慢大会に出場しているようだ。
そして次は、いよいよスクールコースに出て各自自分のバイクを使ってのステップワークの練習である。 最初はスタンディングで右、左とリズミカルにステップを踏みながらコースを廻る練習でステップ過重を覚える。 その後はバイクに座って素早く左右にハングオンする練習をする。
ツインのTuonoは低速がギクシャクする為、スタンディングの時に1回急加速してしまい外に飛び出しそうになって焦った。
         
新垣選手にフォーム指導を受ける松千代
  
ステップワークを練習するHolyさん(前)と松千代(後)
次は虎の穴名物、膝すり特訓コースである。各自のレベルに合わせ、自分のバイクで8の字膝すりをするグループ、FTRで膝すり練習をするグループ、モンキーで膝すり練習をするグループに分かれての練習である。 初歩から学びたい松千代とHolyさんはモンキーグループに参加することにした。
新垣さん曰く、モンキーと言えども、タイヤが小さくホイールベースが短いのでFTRより難しいとの事である。 まず、新垣さんが見本を見せる。 とても簡単そうに膝を擦るのでこれなら余裕だろうと思った。 順番にモンキーに乗り練習を始める。 最初の人は擦ろうとしていきなり転倒した。 その後も転倒が相次いだ。 隣でやっているFTRも派手に転倒している。 これはなかなか手ごわそうだ。まずHolyさんが挑戦した。 もともとハングオンが苦手なHolyさんはオフセットが足りずなかなか膝が擦れない。 しかし、ファイターなHolyさんはだんだんバンク角を深くし、膝を擦り始めたと思ったらお約束の転倒を喫した。 それでもめげずにもう一度挑戦し、今度は綺麗に膝を擦りながらクルクルと楽しそうに廻っていた。 そして松千代の番である。 松千代が乗るとモンキーがポケバイのようになり、周りの笑いを買った。 自分は転倒したくないので徐々にバンク角を増やして行くと簡単に膝を擦る事が出来た。 面白いので膝を支点にしてクルクル廻ったりして楽しんだ。 一通り順番が廻ると次は逆膝に挑戦である。右コーナーが苦手な人が多いため、右は転倒者が続出していた。松千代も苦手な右周りだったが、Holyさんと共に簡単にクリアー。全員が左右挑戦した後、左右問題なく出来るようになった松千代とHolyさんの2人は隣のFTRに行くように新垣さんに言われた。 

Holyさんの膝すりとお決まりの転倒シーン

新垣選手に、サーカスで曲乗りをする熊と言われた松千代の膝すり
さて、次はFTRでの膝すりに挑戦である。 モンキーより着座位置が全然高く、またスピードも段違いに速いので難しそうである。 既にFTRグループでは何人も転倒していた。 FTRはポジションがTuonoに近いので、これで膝すりをマスターすればTuonoでも擦れるようになるかも。         
まず、Holyさんが左に挑戦するが、さすがにモンキーのようには行かずなかなか擦れない。とおもったら派手に転倒した。 ファイターのHolyさんはめげずに挑戦していたが、上手くいかず1回目は終了。 次は松千代の番である。 まず得意な左から挑戦する。 やはり着座位置が高いため、なかなか擦れない。 焦らず少しずつ尻を落としていくとガリッと擦った。 一度擦ると後は面白いようにガリガリ擦れた。 とりあえず左はクリアーである。 2回目は、Holyさんは再度左に挑戦。今度は上手く擦ることができた。 そして松千代の2回目。 今度は苦手な右に挑戦である。 左の時のようにやってみるが、全然ダメである。 動作がギクシャクし、何回もコースから飛び出してしまう。 新垣さんに言われ2速固定から1速に変えるも全くダメである。 右の1回目の挑戦はあえなく失敗に終わった。他の人がやってる間、新垣さんともう一人の講師である国際A級ライダーの大五郎選手に、もっとコースを広く使うこと、加速と減速にメリハリを付けて走ることをアドバイスされた。 3回目のHolyさんは今度は右に挑戦である。 見ているとHolyさんも右が苦手なようで苦戦していたが、数回擦ることが出来たようだ。 そして松千代3回目。 今度はアドバイス通りコースを広く使ってみる。すると倒しこみでガリッと擦れるようになった。次に加速減速にメリハリを付けると、倒しこみで面白いように膝が擦れるようになった。 減速でサスの縮むタイミングからスパッと寝かせるといとも簡単に膝を擦ることが出来る。また、膝を擦りながらだと全く不安なく、フルバンク状態でマシンをコントロール出来、加速できることに驚いた。 膝すりはカッコだけではなく、安全に速く走るために必要なテクニックだと初めて実感することが出来た。
 
FTRに挑戦するHolyさん

FTR松千代左  

FTR松千代右
午前中の基礎練習はここまでで、午後は場所を東コースに移動して課題走行とフリー走行である。 東のパドックに移動して、レストランで用意された弁当を食べていると、隣の席に新垣選手が座って弁当を食べ始めた。 気さくに話しかけてくれ、色々とアドバイスをしてくれるのでとても楽しい昼の一時を過ごさせてもらった。 昼ごはんが終わるとタイム計測器が各自に配られ、バイクに取り付けた。新垣選手曰く、初心者の目標タイムは1分20秒とのことなので、松千代もそれを目標に走ることにする。 
午後最初のメニューは、まずコースに慣れるための先導車付きの慣熟走行とのことだった。 日本有数の高低差を持つ難コースとは一体どんな所なのだろうか。 パドックから最終コーナーが見えない程の14%の傾斜を持つホームストレート、ダウンヒルから下りながらのヘアピンカーブ等恐ろしい所ばかりである。 
そして午後一番の慣熟走行が始まった。松千代は遠慮して真ん中位のスタートである。 慣熟走行とのことなのでかなりゆっくりかと思ったらいきなりかなりのハイペースである。 付いていくのがやっとの状態で1週すると更にペースが上っていく。 必死に付いて行こうとするが徐々に離されて、後ろの速い人もどんどん抜いていった。 このスクールでは遅い人も速い人も一緒に走るので速い人の走りを後ろから見ることが出来てとても参考になった。確かにダウンヒルストレートの後の下りヘアピンは、ブレーキングが下手な松千代には恐怖の場所だったが、何週かしてるうちにだんだん慣れてきて結構突っ込めるようになってきた。 ホームストレートは、急な上り坂で、先が見えずまるで空に向かって加速していくようで気持ちよかった。 そしてあっという間に最初の30分の走行が終了。  スタッフの女の人がタイム記録シートを渡してくれた。 
松千代の最初のベストタイムは1分23秒後半でした。 ちなみにファイターHolyさんは20秒台でした。 

東コースピットで出撃する瞬間の松千代とHolyさん

東コースを疾走する松千代とHolyさん、ではなく、同じデイトナ650で参加の冨田さん。
 
                                        Holyさんはこちらです。
30分の休憩の後、2つのグループに分かれて課題トレーニングである。
Holyさんは、ストレートから1コーナーの練習、 松千代は第二ヘアピンの練習のグループに振り分けられた。 松千代グループはヘアピンまで新垣選手の先導で走って行き、松千代達はバイクを降りてヘアピンの内側に立ってそこで新垣選手が最初に見本を見せてくれた。 新垣選手の走りは正に異常というしか言いようがない程凄まじいものだった。みんなで「あんなの参考になんないよ。」と言い合った。 ヘアピンを立ち上がり、先のストレートでUターンをして今度は逆で廻る。 この練習を新垣さんの目の前で何度も繰り返し繰り返し行う。 一つのコーナーに絞って行うと確かにだんだん上手く廻れるようになってきた。 新垣選手に、フォームは完成しつつあるのであと一寝かしで膝も擦れるとのコメントを頂いた。 このトレーニングを新垣さんにアドバイスを貰いながら30分程繰り返し、ピットに戻った。 
  
課題トレーニング風景              第二ヘアピン
トラブル発生!
30分の休憩の後、本日最後のフリー走行である。 このフリー走行は完全な自由で、なんと1時間枠である。 松千代は1分20秒を切るべく出撃する。 1週1週とペースを上げ、だんだん気持ちよく走れるようになって来た。特に先程練習したヘアピンはかなり上手く廻れるようになった。途中ペースを上げたHolyさんに抜かれたので、追いかけようとペースを更に上げる。 でも追いつくどころかだんだん離されてしまった。 後ろからHolyさんのライディングを見るとバンク角は恐ろしい程深いがオフセットをあまりしないので膝は擦れないようだ。 オフセットを覚えれば膝はガリガリだろう。 そしてこのフリー走行ではなんと新垣選手もレース用のR6に乗って走っていた。 突然疾風のように横をかすめたかと思うとあっという間に見えなくなった。 恐るべしGPライダーである。 Holyさんを追って徐々にペースを上げていた松千代だったが、数週目のヘアピンでシフトダウンをした瞬間思いっきり後輪をロックさせてしまった。 危うく転倒を免れてそのまま走行を続けたが、次の週も同じところでまた後輪をロックさせてしまった。 何かおかしいと思いピットに入る。 止まろうとしてクラッチを切ってブレーキをかけたが、ガガッと衝撃が走り、エンジンが止まった。ショックで立ちゴケしそうになったが、馬鹿力で持ちこたえた。 バイクから下りクラッチを握ってバイクをピットに押し入れようとするが、バイクが動かない。 どうやらクラッチがイカれて切れなくなってしまったようだ。 ピットで虎の穴のスタッフの方に見てもらうが原因不明で、修理不能となった。 一時間のフリー走行は、あえなく6周の約10分で終了と相成りました。 それどころか明日の走行はどうする? 走れないバイクを家にどうやって持って帰る? など問題続出である。 幸いMsftさんが軽トラで来ていたので家の近くのバイク屋まで載せて行ってくれるとのことでとても助かった。 しかし、2日目に乗るバイクを失い、茫然自失となる松千代であった。 ちなみにこの時のベストラップタイムは、1分20秒台、そして1時間みっちり走ったHolyさんはなんと1分12秒台までタイムを上げていた。さすがファイターである。
フリー走行の後は、ライダースサロンにてミーティングである。 この時今日1日の講習風景を撮ったビデオを見せてくれたのだが、なんと各自のライディングを後ろから撮った映像もあるではないか。最後の1時間のフリー走行で新垣選手が走っていたのはみんなのライディングを後ろから撮影する為だったのである。 すぐにリタイアした松千代は映ってないだろうと思ってたらなんとちゃんと撮られていた。どうやら新垣選手に抜かれる前に後ろにピッタリついて撮影していたらしい。 初めて自分のライディングを映像で見たが、確かにそれなりに様になっていた。 新垣さんの言うとおり膝もあとひと寝かしで擦りそうである。 一人一人のライディングを見ながら解説し、アドバイスをしてくれる。こういうサービスはとても嬉しいと思った。 それにしてもオンボードカメラで見る新垣選手の走りは正に異常としか表現できない。 信じられない所で全開にするし、ガンガン、イケイケ状態で、ホント信じられないライディングである。
ミーティングの後、解散し、明日も参加することになってる人達のバイクは倉庫に預かってくれるとのことなので、動かない松千代のTuonoは取りあえず置いていくことにする。 そしてMsftさんの軽トラの荷台に載せてもらい、今夜の宿泊地、岳温泉へ向かう。
今夜お世話になる場所は、岳の湯という宿泊施設付きの温泉場で、素泊まり一人3,350円の所である。 部屋はしょぼいが、源泉70℃の温泉を10kmの引き湯で加熱してないかけ流しの温泉は47℃もあり、かなり熱い湯だったが、疲れもいっぺんに取れて最高だった。
さて、明日であるが、乗るバイクはないが、FTRの膝すり特訓だけでも参加して、午後はカメラマンに徹しようかと思う。 こうなるともう無我の境地である。
   
走行中の軽トラの荷台                  岳の湯
第二日目
二日目は、朝6時半に起床し、せっかくなので温泉に入ってから出発することにした。 朝の温泉は誰もいなくって正に貸切状態でとてもゆっくりできた。 外に出て軽トラに荷物を積み込み、松千代は再び荷台の人となった。 今日は天気は曇りで涼しいのは良いが、どんよりとして今にも雨が降り出しそうな天気である。
今日も同じ集合場所なので、スクールコースのパドックへ行く。 虎の穴は2日間の日程であるが、どちらか一方でも良いように基本的に2日共同じ内容のカリキュラムになっている。 今日は昨日より大分参加者が少ない。 天気のせいだろうか。
辺りを見回すと、昨日も参加していた顔見知りの人が数人いた。
今日はMsftさんも参加されるので、軽トラからバイク(GSX-R K5)を下ろし準備をする。 松千代はバイクがないので、手持ち無沙汰でウロウロと歩き回っていた。 集合がかかる少し前から小雨が降り始めた。 昨日と同じように自己紹介の後、ストレッチ、それからスタンドで立てられたレーサー2台を使ってのポジションとフォームの確認を一人ずつ行った。 そうこうしているうちにだんだん雨脚が強くなってきた。 次のステップワークの練習は各自自分のマシンを使うのだが、マシンがご臨終の松千代は見学かなと思ったら新垣さんがFTRを貸してくれたので、FTRでスタンディングのステップワーク練習を行った。 3週して戻ると今度は座って交互に素早くハングオンする練習であるが、今度はFTRではなく、なんとR6に乗るように言われた。雨脚がだんだんと強くなってきた。 初めて乗ったSTレーサーのR6であるが、とにかくポジションがきつい。その上バーハンに慣れた自分の身体にはとても乗り難いマシンであった。 1周して戻ってくると今度は2つにグループ分けをして、モンキーで膝を擦るグループと、FTRで8の字膝すりをするグループに分かれた。1日目に膝すりはクリアーした松千代とHolyさんは8の字組に、Msftさんはモンキー組みに分かれた。 いよいよ雨脚が強くなり皆ビショビショである。もちろん路面も完全ウェットで、この滑りやすい状況では8の字膝すりは危険ということで、急遽この滑りやすい路面を利用しての進入スライド教室となった。 しかしFTRと濡れた路面と言えども進入スライドは難しく、皆なかなか出来ない。それどころか滑ってコントロール出来ずに転倒者続出である。 松千代が一番驚いたのは、このFTRのタフさである。 昨日から引き続き、何回転倒させられたことか。何回派手に転んでも、ハイサイドでステップが折れようが、レバーが折れようが、ターミネーターのように蘇るのには感動した。 正直1台欲しいバイクである。 クラッチ操作と進入スライドの練習をひたすら行い、さすがにみんな上手くコントロールできるようになってきた。これで雨の日も安心してシフトダウン出来る。 これで午前中のメニューは終了。 再び東コースへ軽トラとバイクを移動する。

昼食では、なんと新垣選手が松千代のテーブルに来てくれて一緒に昼飯を食べさせて頂いた。 食事をしながら色々なアドバイスをくれるのでとても有意義な昼食であった。

さて、午後一番のメニューは完全ウェットの東コースで30分の習熟走行である。 みんなが忙しく準備をする中、松千代はボーっとしていたら、虎の穴代表の高野さんが来て、レインタイヤを履かせたR6に乗っていいよとのお言葉。 松千代が借りたR6以外にもあと2台レインタイヤを履かせたレーサーが用意されていた。  さて、先導(国際A級の大五郎選手)の後はやる気まんまんのMsftさんのK5、その後ろが松千代という順番でゆっくりとコースに入る。 松千代以外はどうやら皆普通のタイヤなのでスリップしないよう、ゆっくりと走るとのことだったが、いざ走り始めてみると先導とMsftさんがいきなり飛ばし始めた。 Msftさんにせかされる形で大五郎選手もペースを上げ始めた。 松千代はというと置いていかれそうなのを必死に付いていくのがやっとであった。 いくらレインを履いたレーサーだからウエットでは圧倒的に有利と言っても、R6はTuonoと全くポジションが違うし、4気筒のバイクに乗るのも久しぶりで、とにかく乗り難い。 直線では開けきれず、コーナーでは肘がタンクに当たって窮屈でハングオフが出来ない。ツインの感じでシフトダウンするのでパワーバンドから外れる。首、手首、腕、肩が痛いなど、アップライトなTuonoに乗りなれた松千代には非常に扱いにくいと感じた。 レインのグリップの凄さを感じる余裕なんて全くない訳である。そうこうしているうちにノーマルタイヤの速い人達にどんどん抜かれ、Holyさんにも抜かれた。 レインタイヤはまさに猫に小判状態であtった。 結局乗り切れないまま、30分終了。 ヘトヘトになってピットに帰ってきた松千代であった。
30分休憩の後、今度は1時間のフリー走行である。 希望者にはレインを履いたSTレーサーのCBRとR6×2台を貸してくれることになった。 レインタイヤを体験しろというい粋な計らいである。案の定かなりの人数が希望し、行列になっていた。 先程一足先にレーサーを借りて11周もしたので松千代は今回はパスすることにする。 代わりにMsftさんやHolyさんの写真を撮ることにした。
MsftさんとHolyさんは真っ先にレインを履いたR6をゲットし走行を始めた。 雨はほぼ止んだが路面は完全ウェットである。 
  
R6で疾走するMsftさん(左)とHolyさん(右)
1時間も後半になると完全に雨は止んだ。 丁度1台のR6が空いていたので乗せてもらうことにする。 今度は直線だけでも全開にすると心に決めて走ってみる。 だんだん慣れてきて直線で全開に出来るようになった。 次はコーナーへのアプローチである。 なるべく高回転を維持しながら、コーナーへ進入する ようにシフトダウンの練習をする。 こんな時、先程行ったクラッチ操作と進入スライドの練習が生きて来るのである。ハングオフも最初邪魔だと感じた肘をタンクに当ててると安定することに気づき、できるようになってきた。 こうなるとウェットだがとても楽しい。なんかやっとレインタイヤの良さが判るようになった気がした。結構乗れるようになってきたところで30分終了。色々な人が乗ったのでタイム計測はなし。
再び30分の休憩の後、最後のフリー走行である。 この頃になると路面もハーフウェットのような状態になってきた。 さっきとても楽しく乗れた松千代は一番にR6を借り、出撃した。 さすがにハーフウェットだとみんなどんどん飛ばし始める。 そんな松千代も徐々にペースをあげ、遅いグループをどんどん抜いていった。 ところどころがドライになっていてノーマルタイヤの人達もガンガン飛ばし始めた。 この状態だとたぶんレインもノーマルタイヤもあまり変わらないだろうと思う。先日自分より5秒タイムが速かった青いドカと抜きつ抜かれつを繰り返しながら楽しく11周してピットに入る。 一息いれてまた出ようとするが、どうやら誰かコケたらしく、グリーンシグナルがでない。処理に時間がかかるらしく、そのまま走行終了となりました。 
最後のベストタイムは、松千代は1分18秒台、 Holyさんは15秒台でした。借り物のR6ですがとりあえず初心者の目標である1分20秒を切れたのでとても嬉しかった。 しかし、いくらSTレーサーとはいえ、ウェットコンディションなのに、前日のドライコンディションで出したTuonoのタイムを抜くなんて・・・・・・。恐るべし、STレーサーとレインタイヤです。 レインのマシンに乗った人達は一様にレインタイヤの素晴らしさを体感したようで、雨にもかかわらずとても充実したスクールでした。  
しかし、HolyさんもMsftさんも、ウエットコンディションで、ノーマルタイヤなのにあんなに飛ばすなんて凄いな〜と思いました。 
最後に・・・・・
走行も終わり、着替えをすませていると、ミーティングに集まれとの声が。 今日は先日のようにライダースサロンではなく、駐車場でのお話となりました。 新垣選手から本日の総括を聞き、解散となりました。 松千代は新垣さんと一緒に写真を撮ったり、メットにサインを書いてもらったりしました。新垣選手は、とても気さくなイイ人で、松千代は彼のファンになりました。 今後の活躍を期待してます。 

今回のスクールは、ほんとに色々なことをやらされ、その課題をクリアーするごとに自分のライディングレベルが上達するのが実感できました。 ただ漠然とサーキットの走行会に出ていたら解らないこと、出来ないことが出来るようになったことは収穫です。また、レインを履いたレーサーで走れるなんて滅多にない体験もさせて頂きとても楽しかった。 マシンが壊れた松千代に色々と気を使ってくれた新垣選手及びスタッフの方々にも感謝です。またお金が出来たら是非虎の穴へ再び参加したいと思う松千代でした。

ちなみに最初にあげた今回の目標の達成は・・・・・・・・・・・

@事故後に根付いた恐怖感を克服し以前のように気持ちよく走れるようになること。
  
達成!
A正しいハングオンフォームを習得すること。
  
達成!
BTuonoで膝を擦れるようになること。

 これはあと少しの所でダメ。 モンキー、FTR、R6では擦れたが、肝心のTuonoではダメでした。 初日に壊れなければ1時間のフリーの内に擦れたかもと思うと残念です。

   
クラッチが壊れたTuono                   新垣選手と最後に記念撮影