漢松千代 涙のサーキットデビュー
GSM9 in 茂原ツインサーキット

Photo by msft様
平成17年6月29日(水)
今日はいよいよ夢にまで見たサーキット走行の日である。 今回の為にかなりの無理をして仕事の休みを取り、家族の了解も得ての参加である。
今回参加したのは、いつも松千代がお世話になっている、バイク用品店「ナップス」の開催する走行会で、「Good Speed Meeting」、略してGSMのだい9回走行会である。
今回開催される場所は、千葉県茂原市にある、「茂原ツインサーキット」という、全長1200mのサーキットである。
さて、当日を今か今かと1週間前から毎日天気予報を確認しながら待ち焦がれていた松千代であるが、当初晴れだった予報が日が近づくにつれ雲行きが怪しくなり、前々日には降水確率50%となんとも梅雨らしい天気となってきた。 焦って子供達に手伝ってもらい照る照る坊主を作って吊るした。 照る照る坊主の効果か、前日の予報では現地は曇り。 降水確率20%となり、安心して寝た。 そして朝4時に起きるとなにやら外がザワザワ騒がしい。 
嫌な予感を抱きつつ、カーテンを開け外を眺めると・・・・・・・








ざー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


思いっきり雨が降ってやがる。












しかもかなりの勢いで。 

思いっきり当てにならない天気予報と照る照る坊主(彼は後に名誉回復する)を心底恨みながら、仕方ないのでレインウェアーを着こんで出発する。
外に出てバイクで走り出してみるとかなりの雨である。 空梅雨で渇水問題がちらほら取り立たされている昨今、この雨は歓迎すべきものなのだが、今日に限ってはお願いだから降らないでと祈らざるを得ない。

6時に東関道入り口すぐのサービスエリアで、今回一緒に参加する、アプリリアオーナーズクラブの
IZUさんと落ち合う。 IZUさんはファクトリー乗りであるが、今回は雨天専用機のBMWでの参加である。
高速で蘇我インターまで行き、そこから下道で茂原サーキットへ。
8時前にはサーキットに到着し、パドックへバイクを止める。 今回はピット割りがあり、オーナーズクラブから参加の、
MsftさんIzuさんJさん、そして私は同じピットになるはずだったが、案の定自分だけ違うピットを割り振られていた。 もちろん文句を言って同じピットに換えてもらった。 ミラーを外したり、テーピング等をして車検の準備をしていたら、オーナーズクラブ唯一?の女性メンバー、イールさんの旦那様が挨拶に来てくれました。 実はこの旦那様、伝説的に速い人だそうで、ブースの横には愛車のZXR750が出撃体制で置いてある。 今日は彼の走りを目の当たりにすることができるのでとても楽しみである。
イールさんの旦那様は、バイク関係の仕事をしていて今回はミシュランタイヤのメーカーブースを出していた。 聞くとタダで窒素充填をしてくれるそうで、常々窒素を入れたかった松千代は早速ブースへ殿を持っていってタイヤに窒素を充填してもらった。 本日の客第一号だそうだ。その後、今度はタイヤに塗るとウェットグリップが向上するというケミカルを扱っているブースの人が来て、タダで塗ってくれるというので、これもお願いした。 本当にグリップするかどうかは飛ばさない松千代には全く分からないが、初めてのサーキット走行でしかもウェットなので気休めにはなるだろう。 

車検を済ませ、受付を済ませる。 受付で袋一杯のお土産(参加賞)を頂く。 結構重いので中を見てみると、Tシャツやら、荷かけネットやら、タオルやら、キーホルダーやら色々なステッカー等盛りだくさんである。 中でも特に重く嵩張っているのが・・・・・・・・・・・・・・・・











キジマの分厚いカタログだった・・・・・・。
イラネーよこんなの・・・・・。








さて、気を取り直し、走行前のブリーフィングを聞く。
クラス分けは、中級C(エキスパートクラス)、中級B、中級A、初級と分かれており、速い人のクラスから走行するらしい。 ダントツに速いIzuさんはもちろん中級C、Holyさんの代役のJさんもサーキット経験が豊富で速い人なのでC、いつもマイペースで決して無理をしないMsftさんとへたれの松千代は初級である。
最初に各クラス10分づつの先導車付きの慣熟走行があり、その後フリー走行となる。

ブリーフィング中です。
 
    パドックの様子                      IzuさんBMW号とMsftさんRS号
ブリーフィング後、早速Izuさんのクラスの慣熟走行開始である。 路面が完全ウェットで小雨が降る最悪のコンディションの中、静々とコースを走っている。 1周 1分30秒位の非常にゆっくりとしたペースで走っていた。
そしていよいよ松千代の番である。 慣熟走行にも関わらずドキドキしてしまった。        コースインし、実際に走ってみると路面は最悪であった。 至るところに水溜りが出来、濡れた路面は光っていかにも滑りそうである。 
あっという間の10分が過ぎ、コースアウトする。
ピットに戻ると、Izuさんが出撃の準備をしていた。 Jさんは雨のせいかまだサーキットには現れていない。 メールによると昼頃にゆっくり来る予定だそうだ。

フリー走行1回目
フリー走行に入るとさすがにエキスパートクラスは速く、ウェットにも関わらず、ドライの松千代より確実に速い。 特にIzuさんとBMWのコンビは雨天最強といっても過言ではない位の走りをしていた。
 
ウェットをものともせずすっ飛んでいくIzu氏
ところが、その後の中級Aクラスにもっととんでもない奴がいた。
そのXJRは、明らかに走行速度が他と違い、直線でも完全に吹け切った音をさせ、先行車を次々とごぼう抜きである。 そしてウェットにも関わらず、ガリガリ膝を擦りながら信じられないスピードでコーナーを曲がっていく。 立ち上がり付近で何度もケツを滑らせながらである。 ウェットにも関わらずたぶん確実に55秒位で走っていたと思われる。 まさに命知らずな野郎だ。 しかしこの彼、その後の2回目の走行で見事コケてしまうのである。 やはり無理は禁物ということだろうか。

そしてついに松千代の番である。 Msftさんはウェットの1回目はパスするそうだ。 ドキドキしながらコースインし、まずはゆっくりとマイペースで走り始めた。 雨はまだパラパラ降っているがもうほとんど気にならない。 慣熟走行に毛の生えた程度のペースで、コーナーもほとんどバンクさせず、ブレーキも使わずアクセルオフのみでの減速で走る。 数週すると慣れてきて多少スピードが出せるようになってきた。 前が詰まるので、抜こうとするが、これがなかなか難しい。 抜けずにあたふたしてると後ろからどんどん抜かれてしまった。 みんな上手く抜いていくものだな〜などと関心しながら、無理をするのもなんだな〜と結局抜かずに20分の走行が終わった。
  
ウェットでビビリながら走る松千代                ドキドキのスタート前
フリー走行2回目
2回目のフリー走行は、まずエキスパートクラスのIzuさんから。 雨は止んだが、路面は一部のレコードラインを除いてウェット状態。 それでもさすがエキスパートクラス、みんな1回目より大分ペースを上げている。 Izuさんもかなりペースアップしているようだ。 終了間際に1台コケて路面にオイルが出たらしい。 1回目と合わせてここまで数台コケているが、ほとんどが第2ヘアピン前のクランクでコケている。 ここは要注意だ。
そして中級Aクラスで例の命知らずXJRが2コーナーでコケてオイルをぶち撒いたので初級の出走が遅れた。
さて、2回目の初級であるが、最終の立ち上がりと2ヘアピン等の一部を除いてレコードラインはほぼドライになった。 Msftさんも今回から出走するようだ。
松千代はスタートすると、最初の1週はゆっくりと走る。 前のクラスでスタートした直後にコケた人がいたのでやはりタイヤを暖めながら1周は様子を見るのが妥当だろう。 さすがにドライになってくると本来の実力の差が出てくるようで、1回目はゆっくりだった人達が、かなりペースアップしてきた。 松千代はペースアップしようにもどうしてもビビリが入って開けられない。 どんどん抜かれていく。 Mstfさんも抜いていった。 付いていこうと飛ばしたが、最終コーナーのスピードと、その後のメインストレートの開け方が全然違うのでどんどん離されていく。 そして何故かイールさんの旦那様も初級に走行していて、ZXRであっという間に抜いていった。 ついて行くどころかあっという間に影も形も見えなくなった。 そんな松千代であるが、20分の走行時間の後半になると少し慣れてきて、後ろから抜かれなくなったばかりか、さっき抜かれた人達に追いつきはじめた。 今回はパスするポイントを決め、どんどんパスして行く。 こうなると結構楽しくって、ライディングもリズムに乗ってきた。 大分前に抜かれた、自分と同じ太目の奴が乗るドカ999に追いついたところでチェッカー。 くそ〜抜きたかった。
 
最終コーナーで太めのドカ999と松千代(この後直線でぶち抜かれる) バンク角20°のライディング

Msftさん「じゃまだ〜どけ〜」
松千代「怖いよ〜そんなに煽らないで〜」
フリー走行2回目
昼休みで昼食を取り、午後の走行に入る。 路面はもう完全に乾いて絶好のドライコンディションである。 エキスパートクラスからのスタートで、Izuさんが満を持して出撃していった。 そしてなんとイールさんの旦那様も出走するようだ。 伝説的な走りを見れるチャンスである。 そしてこのころ、遅れてJさんも合流。 彼もエキスパートクラスであるが、食事のため午後の1回目はパスするそうだ。 完全ドライの路面のため、Izuさんは最初っから飛ばしはじめた。 ドライだと不利なBMWを駆りエキスパートクラスでもトップクラスの速さである。 ところがそのIzuさんに追いつこうとするグリーンモンスターがあった。 コーナーでは地べたに這いつくばるような鬼のようなバンク角で物凄いスピードで旋回して行く。  数週でIzuさんを抜き去りさらに差を広げんと飛ばしていく。 これがイールさんの旦那様の伝説的な走りである。 

伝説の人とグリーンモンスター
 
最終コーナーを立ち上がるIzuさん                     イールさんの旦那様
で、松千代の番である。 午前中の良いリズムのまま行ければ今度こそドカ999をぶち抜いてやると挑んだのであるが、走り始めてどうしてもリズムに乗れない。 どんどん前の人に離されていく。 直線でも恐怖が先に立ってどうしても開けられない。 そうこうしてるうちにあっという間にMsftさんにパスされる。 付いていこうとしてもあっという間にいなくなる。 その後も数台に抜かれ、ドカ999にも抜かれ、全く調子に乗れないうちに3回目終了。 Msftさんには20分の間に2回抜かれた。エキスパートクラスの人は最終コーナーを80km位で立ち上がり、メインストレートで130km位まで出すらしい。 対して松千代は、最終を60km、メインストレートでは85km位しか出ていない。 あまりに情けなく溜息しかでない。
フリー走行2回目
この回からエキスパートクラスにJさんも参加。 借り物のRS250での出走なので走り難そうである。 Izuさんは相変わらずの調子で飛ばしまくりで、55秒前後のタイムだと思われる。 膝も水平対抗のシリンダーヘッドも擦らずに、トップ並みのタイムを出すのはよほどライン取りが上手いのであろう。 是非レースにデビューしてもらいたいものだ。
そして松千代の4回目。 この回は前回の不甲斐なさを払拭するために静かな闘志を燃やして挑んだ。 走り始めてすぐに前者をパスする。 そしてまた1台パスする。 少しして集団に追いついたので、少しずつパスして行く。 そうしているうちにだんだん楽しくなってきてリズムにも乗れてきた。 直線でも多少開けられるようになってきてTuonoの圧倒的な立ち上がり加速を利用してどんどんパスしていく。 さすがに初級ではダントツに速いMsftさんには追いつかなかったが、7〜8台パスしたと思う。 ライバル視してるドカ999にやっとこさ追いついたところでチェッカー。 そしてこの回にはイールさんの旦那さんが、ナップスが試乗用に持ってきたドカのムルティストラーダで初級を走行していた。 もちろんめちゃ速はバイクが変わっても変らず、20分であっさり2回も抜かれてしまった。 速い人はなに乗っても速いのね〜。

第1ヘアピンを立ち上がる松千代(それにしてもなんとも浅いバンク角+へんなつま先
奥多摩ではステップやつま先を擦る位倒せたのに、なんでサーキットでこれなの?????

同じ場所で、松千代とは雲泥の差のライディングを見せるMsftさん
ちなみにこの日のベストは1分弱だったそうな。松千代より確実に5秒以上速いと思われる。
フリー走行2回目
いよいよ本日最後のフリー走行である。
この回のエキスパートクラスでは、再びIzuさんとイールさんの旦那さんの熱いバトルが見れました。 Izuさんはこの熱い走りで、本日のミシュランユーザー最速の称号をもらい、なんとパイロットパワーを前後プレゼントされるのでした。 なんと羨ましい・・・・・・。
そして面白かったのが、Jさんが試乗車のムルティで出走したことである。 RS250での独特のフォームが果たして大型マシンではどうなのかと注目の走りであったが、全く同じだった。

ムルティを駆るJさん。 楽しそうに走ってました。
さて、松千代であるが、終わり良ければ全て良しという言葉もあるが、こと走りに関して言えば、最後というのが一番危険なのである。 例えば奥多摩でコケた時も、もう帰ろうか、でも最後にもう一回って走った時にやったのである。 加えて直前のクラスで、CBR1000RRが、2コーナーでコケて土手に滝登り状態になったのを目の当たりにしたので、最後はツーリングペースで閉めようと思い、最初からゆっくりペースで走った。 途中タイムアタックをしているMsftさんにあっという間に抜かれ、その後400ccに乗っている女性に抜かれた時は、くそ〜、抜き返してやるって思ったが、ペースを上げるとまた恐怖に襲われ全然駄目である。 諦めておとなしく走って今回の初サーキットデビューを無事終えることが出来た。
惜しむらくは、太目999さんを一度も抜けなかったことが残念でならないが、へたれの松千代にしてはこんなものだろう。
しかし、やはりサーキット走行って面白い。 公道ではコーナー進入や立ち上がりで前者を抜くなんてことは絶対に出来ない(してはならないと思う)し、やはり対向車がいないという安心感は絶大である。 しかし、その反面ラップタイムにこだわり始めるととても危険な面もあると思うので、当分松千代はタイム測定をせず、初級クラス限定で楽しく走っていこうと思う。

着替えを済ませ、バイクを公道仕様に直し、閉会式に参加して帰路に着く。 サーキットで他のオーナーズクラブメンバーとも別れ、お金を節約するために下道でのんびり帰ることにした。  東金まで126号を走り、左折して128号へ入る。 多分なにか考え事をしていたのだと思うが、ふと気づいたらなんと目の前に有料道のゲートが。 ボーっとしてて間違えて有料道路へ紛れ込んだらしい。 しょうがないのでチケットを取り有料道路をひた走る。 料金所に来て車列に並びいざ財布を出そうと胸ポケットを触るが・・・・・・・・・・・・ない。











ない! 財布がない!!








焦ってズボンのポケットやらジャケットのポケットやらを探すがどこにもない。  そうこうしているうちに後ろには車の列が・・・・・・・・松千代絶体絶命の危機である。 どこかで落としたか?  焦る松千代。 冷や汗が噴出してきた。 謝って引き返そうかと思ったその時、ふとあることを思い出した。









そうだ、ツナギの胸ポケットだ!




思い出した松千代は、早速ツナギを出そうとするが、・・・・・・・・・・・





ツナギはバックパックの中。 しかも無理やり詰め込んだので簡単には出せない・・・・・・・・。  仕方なく料金所のおっさんに断って、バイクを端に寄せ、バックパックからツナギを出すために悪戦苦闘し、その後また詰めるのに苦労する松千代であった。





終わりよければ全て良しって・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。