ワイルドイエロー万福丸
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クラス優勝、総合8位

11月3日、文化の日。 山梨県の山の中にある、スポーツランド山梨で開催された6時間耐久レースに出場してきました。 今回のお話は、マシンオーナーであるBroccobirdさんがD-トラッカーでのレース活動の締めくくりとして耐久レースに出るので、今までのもて耐とかのレースでヘルパー等で手伝ってくれた人にライダーとして参加するチャンスをと企画してくれたのです。  松千代は今までレースといえばミニの耐久レースに2回ほど出たのみで、今回の250ccというマシンはかなり面白そうです。
この耐久レースは、250cc以下の4ストロークマシンが出場可能で、4気筒のFクラスと2気筒と単気筒のSTクラスに分かれています。
松千代達が出るのは、多勢を占める4気筒クラスではなく、2気筒以下のSTクラスに単気筒のD-トラッカーのレーサーで出場します。 出場チームは全部で26チーム、その中でSTクラスは4チームでした。

圧倒的なパワーと直線速度を誇るCBR250RR等の4気筒勢に対し、圧倒的に遅い単気筒のDトラでどこまで対抗できるのか、そしてSTクラスでも台数こそ少ないが、優勝候補でGPモノばりの単気筒レーサーを持ち込んだレーシングチームやアルミフレームの2気筒オンロード車の改造レーサーで、単気筒、オフ車でフレームも弱くコーナーリングも不利なDトラレーサーでどこまで対抗できるのか。
また、このレースには年齢ハンディキャップや女性ハンディキャップというのがあり、40歳以上のライダーは1人に付き10周(最大30周まで)を加算してくれるので、40歳以上を3人そろえて30週のアドバンテージと無転倒、無トラブルで6時間走りきればそこそこ良い結果になるのではという予想でした。
当日は朝5時45分集合とのことだったので松千代は前日の夜に移動し、ETC深夜割引を最大限に生かしつつ、サーキットの駐車場で車中泊しようと思い夜の10時に出発しました。
順調に行き、夜中の12時過ぎに韮崎ICを通過。 見事深夜割50%ゲットしました。
ICからはすぐ近くのはずですが、ナビの指示に従って山道をひたすら登っていきます。
スポーツランド山梨は山の中にあるサーキットなのです。
人家も無くなりいよいよ鬱蒼とした細い山道になってきました。 ナビを頼りに進むと車が1台通れるかみたいな脇道を曲がれと。 あたりには鬱蒼とした森で街灯なんかも一切無く、ふと見ると近くの看板には「熊に注意」とか書いてあるし・・・・・・・・。
で、脇道を曲がり更に険しい真っ暗な今にも熊と遭遇しそうな山道をしばし進むと少し開けた場所につきました。 どうやらここがサーキットの駐車場らしい。 舗装もされていないので駐車場というよりは広場というか、山の中の材木置き場というかそんな雰囲気でした。真っ暗な中に車が数台泊まっているのが見えますが車のライトで照らすと全部朽ち果てた廃車でした。
こんな山奥で独り廃車に囲まれて寝るのかと思うと、それこそ本当に熊にでも襲われかねないので帰りたくなりましたが、とにかく車中泊の準備をして寝ることに。 しかし、真っ暗な上、風も無く虫の声も無く全く静かでした。 あまりに静かなので自分の心臓の鼓動が「ざっざっざっ・・・・」ってまるで誰かが車の周りを歩き回っている足音のように響きます。 それから1時間ほど心臓の音に悩まされていると1台の車が来て松千代の隣に停めたようです。 こっそり覗くと友人で明日一緒に走るIZUさんでした。 彼は前日に500km位離れたエビスサーキットでレースに出場してその足ではるばるここまで来たのです。早速車中泊の準備をしていたし、たぶん死ぬほど疲れていると思うので声はかけずにおきました。 でも彼が来たので安心してすぐに寝ることが出来ました。
ぐっすり4時間半ほど寝て目覚ましで起きました。 外には他の車もいつの間にか来て止まっていました。 外に出ると結構寒いです。 参加者もぼちぼち集まり始め、今日一緒に走る、Broccobirdさん、ワイルドピッチさん、しちになかおさん、そして隣に寝てたIZUさんと全員揃いました。

早朝、6時ごろですが、
あたりは鬱蒼としているのでまだ真っ暗です。
メインストレート。かなり急な登りです。
ピットです。

朝のミーティングやマシンのチェック、体調チェックや装備検査、そして車検等を慌しくこなしました。装備検査で松千代のメットが6年物で古過ぎること、そして買ったばかりのツナギに名前と血液型が書いてないことをかなりキツくこき下ろされ少々気分を害しました。 まあ、自分の命に関わることですから言われて当然なんですが、あまりに言い方が偉そうなんで。
そんなこんなであっと言う間に走行練習の時間になりました。 走行練習といっても20分しか無く、このコースが全く初めての自分とIZUさんが乗ることになりました。 で、このDトラレーサーで過去にレースに2回出ていて慣れている上、何に乗ってもどこを走っても速いIZU さんをグリッド決めの予選ライダーとするため自分がタイヤの皮むき係となり最初に走ることになりました。
気温はかなり低くしかも新品タイヤ、その上ウォーマー禁止ととても恐ろしい状況での出走となりました。 嫌な予感・・・・。 とにかく10分間コースを覚えなくてはと走り出すも、目の前のマシンがコースインするなりいきなり転倒。 やはりこの気温とニュータイヤでは全くグリップしないようだ。 イエローが出たのでゆっくりと1周するも今度はメインストレートで赤旗になってた。 そのまままた一周し、ピットに戻った。 結局それで走行終了。 コース覚える暇もなしでした。 その上偉そうなオフィシャルに「赤旗見えなかった?ちゃんと見て。」とまた偉そうに怒られました。 
はい。見えませんでしたよ、気づきませんでしたよ、すいませんでしたね。って感じです。
で、この後IZUさんの練習走行があったのですが、結局時間が無くIZUさんも周で終わりでした。
全く練習ができない、というかコースもほとんど覚えてない状態でこの後ライダー一人一人の予選アタックがあるのです。 この予選は足きり予選で、トップタイムの120%以内のタイムを全員が出さなければ出場できないのです。 しかも1人5分以内で。
まず、グリッド決めの予選が始まります。 この予選だけ15分位ありますのでIZUさんがまずコースを覚えること、そして皮むきをしながら徐々にペースを上げ、無事43秒台を出しました。 初めてのコース、タイヤも暖まっていないのにこのタイム、さすがIZUさんです。 この予選での全体のトップタイムが足切りの指標となるのです。 Fクラスは46秒6が足切りタイム、松千代達のSTクラスは50秒が足切りタイムとなりました。 
全く走ったことの無いコースですが、50秒ならかなり気が楽です。 ただ、5周以内というのがちょっとネックですが、とりあえず最初からガンガン行けば大丈夫でしょう。先日トミンで
Dトラで走って慣れておいて良かったです。 予選は結局全員問題なくパス、松千代は無事45秒台のタイムを出しクリアーしました。
グリッド決めの予選結果は、26台中22位、クラス別でも4台中3位とスタート時点ではかなりビリ争い状態です。

スターティンググリッド。 
この位置からトップを目指しますww
我がチームのDトラ。
後の33番もSTクラスのSPADA。
このチームには負けないようにしよう。
予選アタック中。
予選に向かう松千代。
たぶん、予選中かな?
これがイエロー万福丸のタイスケです。

そしていよいよ本番のレース開始です。 レース開始の10時頃になっても相変わらず曇りで息が白い位寒いです。 この寒さでは転倒が多く荒れるレースになりそうです。 ただ、荒れれば荒れるほど自分達の勝つチャンスが増えるので良い状況と言えるかもしれません。 自分達がコケたら本末転倒ですが。そして10時に予定通りレーススタート。 スタートは変則ルマン式、第二ライダーがコースの反対側から走ってきてエンジンをかけたまま待っている第一ライダーの背中にタッチしたらスタートという感じです。 これから6時間後のゴールを目指し走り続けます。 予定では1人35分の走行を2回走ります。まず、第一ライダーは我らがIZUさん。 ミレでレースをやっている人で滅茶苦茶速い人です。
スタートはとても混乱するのでレース経験豊かなIZUさんに任せておけば間違いありません。 一斉にスタートを切り、前車群が皆コースのアウト側に集中して渋滞を起こしているのを見るや、IZUさんは誰もいないイン側を全開で加速していきなり5〜6台ゴボウ抜きしていきました。 さすがですね。

が、さすがのIZUさんでもマシンの性能差は如何ともし難いようで、ストレートで4気筒勢にガンガン抜かれます。 いつもガンガン抜いているIZUさんがあれだけバシバシ抜かれるのは滅多に見られない光景なんである意味感慨深いです。 が、さすがにコーナリングは速くパワーで圧倒的に勝る4気筒勢にあまり離されず付いていってます。 タイムも42秒台前半とDトラでは信じられないようなタイムを出していました。
それにしてもやはり気温が低いせいか転倒が多いです。 転倒するとすぐにイエローが出てセーフティーカーが入ります。セーフティーカーが入るとその後ろに1列に並んでゆっくりと2〜3周走ります。 35分の間に2〜3回もセーフティーカーが入ったのですが、遅いDトラを駆る自分達としては差が開かないので歓迎です。

6時間耐久スタートです。
IZUさんのアグレッシブな走り。

35分走り終えてピットイン。 第二ライダーのしちになかおさんに代わります。
しちになかおさんは前日にこのコースをDR-Zで走りこんでいたので、コース的には問題ないですが、Dトラに乗るのは初めてで、最初はなかなかペースが上がりません。 調子が上がってきて徐々にタイムが上がってきたなと思うとまた誰かが転倒してセーフティーカーが入ります。
次々とコースから回収されてきたマシンが運ばれてきますが、そんな中同じSTクラスのマシンもあるじゃないですか! しかもどうやら自分達より上位だったチームのマシン二台が仲良く絡んだようです。 今回はどうやら運も味方しているようです。

激走中のしちになかおさん。
最終コーナーを立ち上がるしちになかおさん。

しちになかさんの次は第3ライダーのワイルドピッチさん。 ワイルドさんもDトラは初めてだそうですが、コースは良く知っているようで最初から結構飛ばします。 45秒台、44秒台とタイムを縮めていましたが、走行の最後の方で最終コーナーでゆっくりと大回りをしていたので、どうしたのかな?と思いましたが、後で聞いてみると最終手前のS字の切り替えしで少々ミスしたようで、膝をガードレールに軽くぶつけたとのこと。 大事に至らず良かったです。

最終コーナーのワイルドさん。
視線は出口・・・・・というか、
カメラ目線ですね。
給油中のワイルドさん。

そしていよいよ松千代の出番です。 先ほどの予選でかなりコースにも慣れたので最初から積極的に飛ばします。 しかし、なにぶんライダーが装備重量100kgと重いもので、ただでさえ非力(Dトラは28PS位で、他の4気筒勢は40〜45PSのマシンばかり)なマシンに加えかなりの登りのストレートは激遅状態、まさに走るパイロンのようでした。 このSLYのコースは全長1.2km、でメインストレートから2コーナーを立ち上がるまで登り、そしてあとは最終コーナーまでひたすら下るという高低差の激しいコースです。 登りは自分の体重とマシンのパワー不足、頼みの下りは柔いフレームで素早く倒しこみや切り返しが出来ないという状態ですが、ポジションが楽なこと、パワーが無い分アクセルをガンガン開けていけること、そして車体が軽快で乗り易いことがアドバンテージです。
朝よりは気温も上がってきてタイヤもグリップしているのでだんだん楽しくなって飛ばしていると45秒、そして44秒台が出始めました。44秒台といっても他の4気筒勢よりは確実に2秒は遅いので、ストレートで、コーナーで抜かれまくりでした。 あまりにガンガン抜いてくるのでコーナリング時はインに1台分の余裕を空けてそこに飛び込んでこられるようにしながら走りました。 そうしないとコーナーで相手がどこから来るのかわからないので怖いのです。 44秒台前半も出始め、いよいよ43秒台が見えてきたところあたりでピットインのサインが。 自分の時ももちろん2回ほどセーフティーカーが入り時間潰しをしましたが、それにしても35分の短いこと。 楽しく乗れていると時間の経つのはあっと言う間です。ベストタイムは44秒2くらいでした。

セーフティーカー先導でゆっくり走る松千代。
最終を立ち上がる松千代。
ストレート全開中。 どこ見てるの?
ちゃんと前見て走れよ、危ないだろww
最終コーナーの松千代。

そして5番目のライダーはマシンオーナーで、今回のレースに松千代を誘ってくれたBroccobirdさん。 BroccoさんはこのコースのDトラの持ちタイムが43秒1とかなり速い上マシンとコースにも慣れているので安心して見ていられました。やはりオーナーだけあってとても気持ち良さそうにだいたい44秒台前半で安定してラップを重ねていました。

ストレート全開のBroccoさん。
最終コーナーのBroccoさん。

3時間が経過し、全員が1回目の走行を終えた時点で、順位は総合で18位くらい、クラスでは何故かトップの位置につけていました。
うちのチームより断然速い2つのチームのうち、ひとつのチームのマシンはトラブルなのかずっとピットに止まったままで、一度コースに出ましたが数周して戻って来てしまい、その後はリタイヤとなったようでした。 そしてもう一方のチームの方は転倒の修理に時間がかかったのか数周うしろを猛追しているようです。
その後、うちのチームは順調に走行をこなし、遅いながらも安定したラップを重ねていきました。
そうすると他のチームの転倒とかにも助けられ、徐々に順位が上がっていきました。 ただ、心配なのはGPMONOのような単気筒レーサーを駆るレーシングサプライチームが物凄い勢いで猛追してきていることです。 IZUさんの2回目の走行が無事終わったころ、なんと猛追していたチームのマシンがトラブルを抱えてピットインしてきました。 何気に見ると左側のハンドルがグラグラになっていました。どうやらレース初期の頃の転倒の影響が出てきたようです。 しかしそこは歴戦のレーシングチーム、すぐさま応急処置を施しピットアウトしていきました。 ところが、数周して再びピットイン、今度はマフラーがグラグラになっていて、どこからか排気漏れも起こしているようです。
アンダーカウルも外し始めたのでこれは少々時間がかかるなとほくそえんでいたのはナイショです。
その間に逃げられるだけ逃げなくては。 で、修理も完了してピットアウトした時には、一時は5周を切っていたうちとの差が、なんと21周になっていましたwwwこの辺で勝利を意識し始めました。残りはあと1時間半ほどです。 これならこちらがコケたりマシンに大きなトラブルさえなければ勝てると、優勝できると思い始めました。
しちになかおさんが安定した走りを見せ、ワイルドさんが46〜47秒と少しペースを落とし安定して周回し、そしていよいよ松千代の番です。 この時点でもまだ41秒台のラップを刻んで激しく猛追してくる2位とは12周の差がありました。 自分に課せられた使命はとにかくコケずに戻ってきてラストライダーであるBroccoさんにマシンを渡すことです。 そう考えて走り出すとやはりプレッシャーのせいで走りのリズムがおかしくなってしまった。 なるほど、勝利を意識するととたんに駄目になるってこういうことか。 そんなプレッシャーと闘いながらひたすら周回を重ねます。 46秒台から45秒台あたりのラップで余裕を持って周回する松千代を41秒台のラップで猛追するマシンがパスして行きます。 自分の走行時間の間になんと2回もパスされました。 
それにしても、1回目はとても短く感じた35分が2回目は恐ろしく長く感じました。 やはり勝利を意識すると駄目ですね。やっと無事走行を終え、Broccoさんにマシンを渡します。 この時点で10周差くらいだったでしょうか。
Broccoさんももちろん勝利を意識して無理をせず、しかし43秒台のラップを刻みながら周回しました。 もう絶対安全圏です。 クラス優勝確実です。 この頃から勝利の実感が湧いてきました。
そしてチェッカーが振られレース終了。

我がワイルドイエロー万福丸は、STクラス優勝、総合でも並み居る4気筒勢を抑えてなんと8位という予想以上の成績を収めました。 
勝因はなんといっても無転倒、無トラブルで走れたことです。 ウサギと亀の競争ではないですが、いくら速くてもコケたりトラブルに見舞われたらレースには勝てません。 チームライダー全員が自分の与えられた仕事を完璧にこなした結果がこの勝利だと思っています。
表彰式でポディウムの真ん中に上がった時の気持ちは例えようがありませんでした。

草レースと言えど、まさかレースで優勝するなんて・・・・・。

なんかとても不思議な、しかし感慨深い瞬間でした。

最後に一言。
今回誘ってくれたBroccoさん、キレイな写真をいっぱい撮ってくれたしちになかおさん、膝をガードレールにぶつけながらも激走したワイルドピッチさん、僕のサーキットデビューからの付き合いで、付き合いは長いですが一緒にレースに出たのは初めてだったIZUさん、皆さんお疲れ様でした。
そしてみなさんと一緒に走れたことに感謝します。ありがとうございました。
また機会があれば宜しくお願いいたします。


総合結果表です。
で、おまけですが、任天堂Wiiや自転車等の豪華賞品がプレゼントされる表彰式典で、松千代が賞品としてゲットしたのがこれ。

筑波サーキット印の青竹ふみwww

本当はWii欲しかったんだけど、じゃんけんで瞬殺されたんですよね〜。